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「Nishijin-ori Collection」伝統工芸・西陣織を現代のファッションに

「Nishijin-ori Collection」は、京都市の西陣エリアで生産される伝統工芸品「西陣織」を使用した特別コレクションです。

およそ20以上の工程から生まれる西陣織は、熟練した技術者の手によって丹念に織り上げられています。しかし、着物離れなどの影響で衰退の一途をたどっているのも現実です。

レナクナッタの作るスカートやネクタイ、マスクといった「Nishijin-ori Collection」のファッションアイテムは、まさにブランドのフィロソフィー「れなくなった」をもとに誕生しました。

将来、西陣織が「作られなくなった」とならないように——。伝統を継承している織元さんや職人さんとタッグを組み展開しているコレクションです。

今回は、そんな「Nishijin-ori Collection」のコンセプトやラインナップ、西陣織の作り方、歴史、そして魅力を紹介していきます。

「Nishijin-ori Collection」現代に生きる西陣織を

「Nishijin-ori Collection」では、ポリエステルの糸で織った西陣織を使用し、ウェディングドレスやスカート、ネクタイなどのファッションアイテムを展開しています。

水や摩擦に強く絹より扱いやすいため、ハレの日はもちろん日常に寄り添うアイテムとして長く愛用いただけるのが特徴です。絹に劣らない柔らかい質感、上品な光沢感をぜひお楽しみください。

「Nishijin Set Up Dress with Embroidery - Bianco|一生着られるウェディングドレス II」

西陣織で作ったセットアップのドレスです。ウェディングドレスは、花嫁を美しく彩る衣装。こちらのドレスは、挙式のあとも人生の大事なライフイベントごとに着て欲しいという願いを込め“一生着られるウェディングドレス”と名付けました。

結婚記念日に、お子さまの入学式。人生には、結婚を起点にさまざまな節目が訪れます。トップスとスカート、2ピースのセットアップになったドレスは、人生の特別なシーンにあわせ単体で纏っていただけるデザインです。

生地には、西陣織リニスタの作る西陣織を使用。その日、その場所の光によって浮かび上がる、上品な光沢感をお楽しみいただけます。

トップスは、着物をイメージしてデザインしたカシュクールタイプです。巻いて着られるフリーサイズでサイズの変動にも対応できます。

スカートも巻きスカートのフリーサイズです。丈は80cmと90cmの2タイプをご用意しています。

トップス、スカートともに西陣の上にさらに繊細な手刺繍を施しています。デザインは、ファッションデザイナーであり刺繍デザイナーの田中大資さんによるもの。西陣織をシンプルに楽しみたい方には、刺繍なしのタイプもお選びいただけます。

また、コレクションではドレスと同じ生地で作ったネクタイ「Nishijin Tie - Bianco」も展開しています。

ドレス、トップス、スカートにネクタイと、お好みのアイテムで現代に生きる西陣織をお楽しみください。

・Nishijin Set Up Dress with Embroidery - Bianco|一生着られるウェディングドレス II 刺繍あり・刺繍なし
Dress(フリーサイズ)
Tops(着丈:約47.5cm、バスト:72〜85cm)
Skirt 80(丈:80cm、ウエスト:58〜70cm)
Skirt 90(丈:90cm、ウエスト:58〜70cm)

「Nishijin Skirt - Primavera, Estate, Autunno, Inverno」

「Nishijin Skirt」は、四季をテーマにしたスカートです。春夏秋冬をイメージし、4つのアイテムを展開しています。上品な西陣織と手作業で施された刺繍の融合が魅力です。

どのアイテムも、刺繍のあり・なしをお選びいただけます。また、同じ生地で作ったネクタイ「Nishijin Tie」もご用意しています。

「Nishijin Skirt - Primavera」には、淡いパステルグリーンにピンクやブルーの草花が織られた西陣織を使用しています。ところどころに手刺繍の草花を施し、立体感を持たせたアイテムです。

「Nishijin Skirt - Estate」は、夏の浴衣からインスピレーションを得てデザインしたスカートです。濃紺の生地をバックに凛と咲くアイリス(菖蒲)の花も、もちろん手刺繍によるもの。生地は濃紺と黒の糸で織られ、近付くにつれ柄が浮き上がる西陣織ならではの立体感をお楽しみいただけます。

秋をイメージした「Nishijin Skirt - Autunno」は、木の実が舞い落ちているかのようなスカートです。生地の西陣織は、ヨーロッパのアンティークを思わせる重厚感。ダークブラウンと紫の糸でぶどう柄に織られています。

同色のビーズやスパンコール、ブルーのビーズが上品に輝くジュエリーのような1着です。


商品はスカートのみとなります。

「Nishijin Skirt - Inverno」は、雪をイメージしながらも全体をベージュでまとめた、あたたかみのあるスカートです。こちらは、同じ生地で作った「Nishijin Pouch - Inverno」もご用意しています。

デザインは、ご紹介した4アイテムともフリーサイズの巻きスカートです。ウエストは50〜80cmまで対応できます。

・Nishijin Skirt - Primavera, Estate, Autunno, Inverno(丈:80cm、ウエスト:Free 50〜80cm)

コロナ禍でも、文化を止めない「Nishijin Mask」

「Nishijin Mask」は、コロナが流行しはじめたタイミングに特別アイテムとして生産したマスクです。生地には、セットアップドレスや「四季」をテーマしたスカート・ネクタイと同じ西陣織などを使用しています。

さまざまな業界が冷え込みをみせていた当時。ファション業界も例外ではありませんでした。受注がさらに減った西陣織の生産を止めたくない。

コロナ禍でも、文化を止めない——


西陣織のマスクは、そんな思いから生まれたアイテムです。生地の生産は、マスクのためだけに新たに織元さんや工場へ依頼しました。

期間中に織られた西陣織は、広幅で690m。マスクは多くの方々の手に渡り、お客様にも、織元さんや職人さんにも喜んでいただくことができました。

SNS上ではお客様同士の交流が広がり、結果的に、西陣織を知ってもらうきっかけとして最適なアイテムになったと考えています。

レナクナッタから旅立ったアイテムは、お客様それぞれの場所でメディアになってほしいというのが私たちの願いです。「Nishijin Mask」のように、各アイテムを身に付けた方々のまわりで西陣織が話題になれば、その瞬間レナクナッタはメディアになります。

「文化を纏うことをきっかけに、西陣織の魅力がより多くの方々に伝わってほしい」そんな思いを胸に、私たちは「Nishijin-ori Collection」を展開しています。

扱いやすく柔らかい、現代に生きる西陣織をセミオーダーで

西陣織は絹織物のことであると思われがちですが、西陣地区において生産される先染めの紋織物のことです。つまり、素材ではなく技術そのものを意味しています。レナクナッタが使用しているポリエステルで織られた西陣織は水や摩擦に強く、どれも扱いやすいアイテムとなっています。

取り扱いはドライクリーニングが基本ですが、アイテムによってはご自宅で手洗いしていただけます。

絹に劣らない柔らかい質感と、上品な光沢感。現代に生きる西陣織の魅力をぜひ身近なアイテムとしてお楽しみください。

受注後は職人さんが丁寧に生地を織り上げていきます。その後ドレスやスカート、ネクタイなどのアイテムに仕立て、皆様のもとへお届けする流れです。

受注販売のため一定の時間を要しますが、ぜひ楽しみに仕上がりをお待ちいただければと思います。

平安時代から現代へ。京都・西陣織の歴史や作り方

西陣織とは、京都市の西陣エリアで生産される先染めの織物の呼び名です。

「先染め」とは、名前のとおり布を織る前に糸や繊維を染色すること。糸そのものにしっかりと色が乗っているため、色合いが深く、シワになりにくい生地に仕上がります。

西陣織の歴史は古く、平安時代から現代まで巧みな技術が職人たちの手に受け継がれています。

古来から京に続く西陣織の歴史

西陣織の起源は古く、5〜6世紀ごろの古墳時代に遡ります。大陸からの渡来人が現在の京都・太秦あたりに移り住み、養蚕と絹織物の技術を伝えたのがその始まりでした。

平安時代になると、朝廷は絹織物技術を受け継ぐ職人たちを「織部司(おりべのつかさ)」と呼ばれる役所に配属させます。高級な絹織物の生産は、官営の職業として普及していったのです。

職人たちは現在の京都市上京区長者町あたりに集まり、「織部町」という町を形成しました。

その後、平安時代中期以降になると官営の織物工房は徐々に衰え、職人自らが織物業を営み始めます。なかでも織部町近くの大舎人(おおとねり)町には多くの職人が集まり、高品質な絹の生産地として発展を遂げました。室町時代には「大舎人座」と呼ばれる組織が誕生し、朝廷から公家、武家まで受注の幅も大きく広がっていきます。

しかし、室町時代中期の「応仁の乱」により大舎人は壊滅。多くの職人たちは戦火を逃れ和泉の堺などに移り住みます。

職人たちが再び京都に戻ったのは、戦火が治まった頃のこと。彼らが選んだのは、もとの場所にほど近い白雲村や、戦乱時に西軍の本陣であった大宮今出川付近でした。「西陣織」の名前は、西軍の本陣跡だったことを意味する「西陣」という地名に由来するものだったのです。先に染めた糸で色柄や模様を織り出す「紋織(もんおり)」も、この頃に誕生します。

やがて、西陣織は朝廷からも認められ、中国・明の技術を取り入れながらさらなる発展を遂げていきました。

明治時代には西洋からジャカード織物などの技術を取り入れ、近代化にも成功します。また、近年は伝統的な着物や帯だけに限らず、インテリア用品やネクタイ、ショールなど時代に合わせた製品も数多く作られています。

糸と糸との共演。西陣織の作り方

西陣織は、実に20以上もの工程を経て丁寧に織り上げられます。西陣織の美しさは、熟練した技術者が一つ一つの工程で丹念に作業を行うなかで生まれるものです。

現在は、「綴(つづれ)」や「経錦(たてにしき)」などの12品種が伝統工芸品として指定されています。

西陣織の紋織物の多くに共通しているのが、緯糸(よこいと)で柄を作りだすこと。「Nishijin-ori Collection」に使う美しい西陣織も、緯糸と経糸(たていと)の出会いによって生まれています。

ベースとなる地組織を作る為の緯糸は地緯(じぬき)、柄を織り成すための糸は絵緯(えぬき)と呼ばれます。

西陣織は、まず経糸と地緯でベースとなる地組織を織ります。その後、絵緯を使った二重織りで、生地を覆い隠すように柄を織り上げるのが特徴です。

このとき、絵緯は撚り(より)の少ない太い糸が用いられます。刺繍のようなボリューム感と光沢感のある文様は、この糸の特性から生まれるものです。

また製織工程では、「綴機(つづればた)」や「手旗(てばた)」、「力織機(りきしょっき)」といったさまざまな手法が用いられます。これらは、職人の手織りによって文様を生み出す伝統ある技法です。

なかでも、「綴機」は長い歴史を誇り、ギザギザに刻まれた職人の爪先によって繊細な文様が織り込まれていきます。作業は実に細かく、複雑な模様は1日に数センチしか織ることができないといわれています。

西陣織が「作られなくなった」とならないように

歴史を紐解くと分かるように、西陣織は日本の絹産業に大きく貢献してきた伝統産業です。しかし、人々の着物離れや生活様式の変化とともに、衰退に拍車がかかっています。

このままいくと、今でさえ貴重な西陣織はもう二度と作られない幻の織物となってしまうかもしれません。そうならないためには、後継者の育成や工賃を上げることなどが大きな課題といえます。

私たちは「西陣織をまず多くの人に知ってもらうきっかけをつくり、新しいカタチで纏う機会を提供をしたい」という想いから「Nishijin-ori Collection」を立ち上げました。

将来、「作られなくなった」とならないように。

「Nishijin-ori Collection」では、西陣織の伝統を継承している織元さんや職人さんとタッグを組みさまざまなアイテムを展開しています。

京で紡がれてきた、思いと文化を纏うコレクション

伝統工芸である西陣織を用いた特別なコレクションである、レナクナッタの「Nishijin-ori Collection」。

光や角度により違う表情を見せる生地には、古来から受け継がれてきた歴史と人々の思いが織り込まれています。

ご注文をいただいてから糸を染色し、一つ一つ仕上げるスカートやドレスたちは、年月を重ねるなかで人生を織り成す一着となってくれるはず。ぜひ、古来から京に受け継がれてきた文化を手に取り、身に纏い、その魅力をお楽しみください。

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執筆:永田 志帆
編集:吉田 恵理

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