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手捺染スカーフの美しさを現代へ「Yokohama Tenassen Collection」

レナクナッタの「Yokohama Tenassen Collection」は、神奈川県・横浜で生産されるシルクスカーフのコレクションです。

大きな特徴は、生地に1色ずつ色を重ねていく「手捺染」と呼ばれる技法を用いること。世界が認める最高品質の技術にもかかわらず、手捺染が可能な工場は日本国内に数多くは残っていません。

将来、「作られなくなった」とならないように。renacnatta(レナクナッタ)は、伝統技法を継承する職人さんたちとともにオリジナルのスカーフを作りました。

今回は、「Yokohama Tenassen Collection」のラインナップや魅力、横浜スカーフの歴史とともに、それらに携わる人々や私たちの思いについてご紹介していきます。

手捺染スカーフの美しさを感じる「Yokohama Tenassen Collection」

「Yokohama Tenassen Collection」は、横浜スカーフの伝統技法を用いたシルクスカーフのコレクションです。

パートナーは、株式会社丸加。約90年前から変わらない手法を現代へと受け継ぎ、横浜の文化として発信し続けている会社です。コレクションで展開しているスカーフの、繊細かつ鮮やかな表現も職人による伝統技法によって生み出されています。

なかでも横浜スカーフの技術における特徴は、大きく2つ。1つが「手捺染(てなせん、てなっせん)」と呼ばれるプリントの工程です。そして、もうひとつが「手巻き」と呼ばれるスカーフの縁を仕上げる技術となっています。

一色ずつ色を重ねる「手捺染(てなせん、てなっせん)」

手捺染は、ゴムのついた木製のヘラを使い、手作業で1色ずつ丁寧に染め重ねていくプリント手法です。全体がムラなく染まり、繊細なデザインも美しくシャープに仕上がります。

作業は、「捺染台」と呼ばれる斜めの台の上で行われます。台の長さは左右におよそ25m。捺染台に生地を貼り付ける「地張り」は、仕上がりを左右する重要な工程です。

生地の繊維の目が少しでも曲がってしまうと、柄が歪んでしまったり、細かなムラができたりと理想とは異なる仕上がりになってしまいます。生地を平らに整えながら正確に貼り付けるためには、職人による熟練の技が必要です。

手捺染は1色ずつプリントしていくため、色ごとに新しい型を作成します。レナクナッタのスカーフで用いるカラーは、全部で22色。そのため、1枚のスカーフを仕上げるために計22枚の型が使用されています。

また、生地に色を重ねるには前段階の色が乾くのを待たなくてはならず、作業には多くの時間を要します。

捺染の前には、一度試し塗りを行います。仕上がりを確認するだけでなく、型についた余分な糊を落とし、均一にプリントするためです。

1mmのズレが仕上がりを左右する繊細なデザインが実現できるのも、職人の確かな技術があってこそ。人から人へと長年受け継がれてきた手捺染は、世界でも高く評価されています。

YouTubeでは、スカーフを作る過程がわかるよう、動画でも製造風景を公開しています。

スカーフの縁を一針一針縫い上げる「手巻き」

手捺染と同じくスカーフの品質を決める重要な技術がもうひとつ。「手巻き」は、職人がスカーフの縁を一針一針丁寧に縫い上げるものです。

指の腹で生地をロール状に巻き込み、均一に縫うことによってスカーフの縁はソフトにふっくらと仕上がります。巻いたとき、やわらかくしなやかに垂れるスカーフの表情も、手巻きがもたらしてくれるものです。

横浜スカーフの仕上げには、古くから手巻きが用いられてきました。現在は手がける職人が少なくなる一方で、手捺染と同様に上質なスカーフに欠かすことのできない伝統技法のひとつです。

横浜とミラノの融合、クラシカルなデザイン

横浜スカーフの技術を盛り込んだレナクナッタのスカーフのデザインは、長く愛用していただけるようクラシカルなデザインにこだわりました。

中心には、代表・大河内がイタリアで撮った天井画の写真をモチーフにしたオーナメント、4つの角には、横浜の歴史を感じさせる馬車と横浜市花の薔薇を入れています。

大河内の出身地横浜と、その後に移り住んだミラノ、2つの街の要素を溶け込ませたデザインです。

また、22色と多くの色を使うことで花や葉に立体感を持たせています。多くの色をずれないように刷っていくのは、熟練の職人でも気を使う、難しい作業。伝統の技術を守り続けてきた丸加だからこそ実現できたデザインです。

また、サイズは80cm×80cmの大判サイズに仕上げています。折り方、畳み方で見える柄が変わり、幾通りにも表情を変えてくれる、初心者にもおすすめのサイズ感となっています。首に巻いたり、ボレロのように肩にかけたりと、その日の気分にあわせたアレンジをお楽しみください。

「Yokohama Tenassen Collection」の販売は不定期・数量限定で、オンラインで購入いただけます。

現在のラインナップは、赤と緑のコントラストが華やかさを添える「
Yokohama Hand Printed Silk Scarf - Red」のほか、2022年10月31日に新色としてネイビーとパステルグリーンの組み合わせがシックな「Yokohama Hand Printed Silk Scarf - Navy」を発売します。

横浜スカーフの文化、魅力をより多くの人へ

横浜の地で長く受け継がれてきたスカーフ作りの技術ですが、手捺染が可能な工場は日本国内に数多くは残っていません。また、手巻きを手がける職人も数が減り続けているといいます。

「Yokohama Tenassen Collection」のスカーフは、横浜スカーフの伝統を守りたいという思いと共に、技術を継承している職人さんたちと一緒に作り上げました。

これまでスカートやアクセサリーを手がけてきた私たちにとって、スカーフは新たな挑戦でした。背中を押してくれたのは「レナクナッタから出るものは間違いない」と言ってくださったお客様の声です。

レナクナッタは、どのアイテムも1発の打ち上げ花火で終わらせない、続けていくことに意味があると考えています。

ブランドを立ち上げ、5年目のタイミングで生まれたスカーフもそのひとつ。新たな産業を皆さんにお伝えすることで、私たちもその魅力を共有している感覚です。ときには、古くから日本の伝統を支えてきたにもかかわらず、このままでは消えてしまうかもしれない文化や産業を「知ることができてうれしい」と言っていただけること。

時代に沿った新たなアイテムをきっかけに、伝統文化が多くの人へと伝わっていくことに、レナクナッタの役割があるのではと感じています。

細部にデザインを施した大判サイズのスカーフは、普段使いで様々なアレンジを楽しんでいただきたいアイテムです。その日の靴を選ぶように、アクセサリーを身に付けるように。さまざまな巻き方で、スカーフの魅力を体感していただければうれしく思います。

港町横浜から世界へ。海を渡った横浜スカーフの歴史

横浜スカーフは、世界が認める最高水準の技術で作られるシルク製品です。その大きな魅力は、シルク特有の光沢やなめらかな肌触りと、繊細な柄を表現できる技術。それは、横浜の歴史の中で培われてきたものに他なりません。

手捺染と横浜スカーフが歩んだ歴史

今より160年以上も昔、1859年(安政6年)の横浜開港とともに輸出が開始されるとシルクは一躍輸出産業の花形となります。明治に入ると、木版捺染による絹ハンカチが横浜の地場産業として定着。現在のような手捺染の技術は、昭和初期にアメリカから持ち込まれたといわれています。

やがて時代が戦争へ向かうと、捺染工場も次々と廃業していきます。スカーフの製造が始まったのは、戦後に入ってからのこと。捺染業者が焼け跡にバラックを建て、進駐軍兵士の好みそうな手捺染のハンカチを売り始めたことがその始まりです。その後、横浜にあった捺染技術とシルクを組み合わせた横浜スカーフの受注は次第に増加していきます。

着実に進歩を遂げたプリント技術は、シルク生地の生産地として名高いイタリア・コモにも肩を並べると評価されるほどに。現在も、横浜スカーフの美しさは多くの人々を魅了し続けています。

職人の技術のバトンで生まれる横浜スカーフ

横浜スカーフは、主に7つの工程を経て誕生します。デザイン画の構成から型の作成、捺染まで、多くの工程が職人の手によって行われているのが特徴です。

捺染用の型は、デザインをもとに色数の分だけ作成されます。色糊(いろのり)と呼ばれる染料は、ミリ単位で計測しボウルで糊と調合。左右に長く続く捺染台に正確に生地を貼ったら、いよいよ染めの工程です。

スケージと呼ばれる大きなヘラを使い、型の下の部分に流し込んだ染料を上から下へと捺染していく作業は、職人の技術や経験が活きる重要な場面。約25mの捺染台を往復しながら、1色ずつ丁寧に色を重ねていきます。

捺染後は、生地に一時的に色が付いている状態です。その後、蒸しの工程で熱を入れることで、糸に染料が付着します。不要になった糊を水洗いで流し、できあがったプリント生地に最後に施されるのが手巻きの工程です。

裁断した生地の縁を職人が一針ずつ丁寧に縫うことで、1枚の上質なスカーフができあがります。「Yokohama Tenassen Collection」のスカーフは、職人たちの技術のバトンにより生み出されたアイテムなのです。

普遍的かつ現代的なスカーフの美しさを求めて

「Yokohama Tenassen Collection」の製造を手掛ける株式会社丸加で私たちの思いを一緒に形にしてくれた、取締役を務める遠藤 洋平さん。遠藤さんはアパレルの仕事に就いた後、スカーフの美しさに改めて気づき、丸加へ入社したといいます。

ところが、スカーフの仕事に携わった当時は、周囲になかなかその魅力を理解してもらえなかったそう。

やがて、遠藤さんはスカーフに関する本の著者であるナタリー・ベルジュロンさんとの出会いをきっかけに、「スカーフを楽しむハードルを下げていこう」、「その魅力を多くの人に伝えよう」と講習会などを開催します。

「手捺染や手巻きがなくならないよう、仕事を継続的に入れていくのは、僕らの使命」

そう語る遠藤さん。手捺染も手巻きも、1度その技術を止めてしまえば、再び復活するのは難しいといいます。一方で、どちらの職人も高齢化や事業縮小で減り続けているのが現状です。

「本当に美しいスカーフって、20〜30m先から見たお客様が、そこに向かって一直線にビューって向かっていくんですよ。そういうものが作れるって、すごいことだと思う」

遠藤さんが追求するのは、今の時代に求められるスカーフの美しさ。古くから受け継がれる伝統技術を守りながら常に未来を見据え、横浜スカーフの文化、伝統を多くの人に伝え続けています。

「Yokohama Tenassen Collection」の横浜スカーフの製造は、多くの工程が職人の手によって丁寧に行われています。便利さや快適さが優先されてきてしまった現代において、クラフトマンシップに基づいたモノづくりから生まれるアイテムです。

そこには、職人たちの間で長年受け継がれてきた伝統技法、横浜の歴史や文化が息づいています。出会った瞬間心を捉える、人の手によって生み出される美しさが横浜スカーフの大きな魅力です。

巻き方によって、幾重にも変わる表情もスカーフのおもしろさ。ぜひその日の気分でさまざまな巻き方を試しながら、日々を彩るアイテムとして取り入れていただければと思います。

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執筆:永田 志帆
編集:吉田 恵理

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