レナクナッタの「ものづくり」4つのポリシー | 伝統工芸をつないでゆくサステナブルなファッション
renacnatta(レナクナッタ)は、「文化を纏う」をテーマにしたアイテムを展開するブランドです。
私たちのコンセプトである「文化を纏う」という言葉は、伝統工芸が長い年月をかけて現代に受け継いできた価値を守り、未来に残したいという思いからきています。日本が紡いできた美しい文化を現代にフィットする形で作りかえ、ひとりでも多くの人に楽しんでいただけるものづくりを目指しています。
そしてこれは、目まぐるしくトレンドが変わり、多くの服が捨てられていく現代のアパレル業界が抱える問題への挑戦にも繋がるものです。
現在、日本では毎年約78万トンの服が捨てられています。(*1)サステナブルファッションやエシカルファッション、スローファッションという言葉が生まれ、大量生産・大量廃棄の時代が終わろうとしている中で、この大きな問題に解決策を見いだせているブランドはまだ多くありません。
この記事では、レナクナッタが「文化を纏う」アイテムを作る上で大切にしている4つのことを通して、どのように課題と向き合っているのかをお伝えしていきます。
1 クラフトマンシップ
レナクナッタは、ブランドがスタートした2016年から一貫して日本の伝統的技術を活かし、未来へつなげるアイテムを作ってきました。
ベーシックラインである「デッドストックコレクション」は、日本で仕入れた着物の反物と、イタリアのデッドストックシルクを使用したリバーシブルスカート。代表の大河内 愛加がイタリアのルーツを持っていることから誕生したアイテムで、本来出会うことのなかった素材が組み合わさっているのが特徴です。
ほかにも斜陽産業の伝統工芸を継承する企業や職人さんとのタッグを組んだアイテムとして、西陣織で作る「一生着られるウェディングドレス」や、金彩の技術を生かした「Kinsai Ear Accessory」、丹後ちりめんを纏う「Tango Mermaid Wrap Skirt」なども展開しています。
どのアイテムも、はじまりは伝統工芸の職人さんたちのクラフトマンシップです。その素晴らしさを活かし、どのように伝えていくかを一番に考えて作っているので、ただ服を販売するだけで終わらせません。
販売の際には、伝統工芸の持つ美しさや受け継がれてきた文化、そして課題までを伝えていくことを心がけています。それを知らない時と知った時ではそのものに感じる価値もグッと変わるはず。ぜひそれぞれのアイテムにまつわるものづくりの背景を知った上で、纏ってみてください。
2 パートナーシップ
レナクナッタのアイテムは、それを一緒にかたちづくってくれている、大切なパートナーのみなさまがいてこそ成り立ちます。
伝統工芸の職人のみなさま
一緒にものづくりをしてくださる皆さんとのパートナーシップは何よりも大切で、これがないと、どのアイテムも成り立ちません。職人さんたちの声に耳を傾け、どんなアイテムに仕立てあげていくかを常に考えています。
そして1度きりのお祭りで終わらせず、長く仕事をお願いしつづけられる関係性やアイテムづくりをすることで、職人のみなさんができるだけ健やかに、継続した収益をあげられる環境づくりを目指しています。
服を仕立ててくれるみなさま
現在、日本で販売されている服のうち、国内で製造されている割合は約2%(*2)しかありません。私たちは国内での製造にこだわり、高い技術をもつパートナーのみなさんと服作りをしています。
レナクナッタがいつも縫製をお願いしているのは、山口県にあるソゥイング杉さん。ただ作るだけでなく、アイテムが最終的に届くお客様のこともしっかり想像してくださり、一緒にものづくりをしていると感じることのできる頼もしいパートナーです。
ファンのみなさま
最後に、決して忘れてはいけないのはレナクナッタのファンでいてくれる人たち。
伝統工芸の持つ普遍的な価値や美しさは、私たちが発信するだけでは完成しません。一緒にこれを纏い、伝統工芸の美しさや価値を広めていく。私たちとファンのみなさまでひとつの「メディア」を作っていくようなイメージを常に持っています。そして、私たちの取り組みを後押ししてくれるみなさまがいることでレナクナッタはつねに新たな挑戦をすることができます。
3 人生を長く共にできるアイテム
伝統工芸の持つ普遍的な美しさ、質のよさは、長く大切に着ていただくことができるものです。そのためレナクナッタでは、トレンドに左右されないベーシックで長く使えるデザインを心がけ、長い時間をお客様と共に過ごすアイテムとして仕立てることも心がけています。
また、その人の人生に長く寄り添い、愛される服であり続けられるように、年齢や体型を問わず、着用いただけるデザインにもこだわっています。レナクナッタのスカートが巻きスカートになっているのは、こういった背景もあります。
購入頂いたアイテムの金彩が剥がれてしまったりくすんでしまったりした時は、リペアも対応しています。
4 廃棄を出さないものづくり
従来のファッション業界の課題としてよく挙げられるのは、安価な商品を大量生産し、売れ残りを大量廃棄する生産背景です。そんな中でレナクナッタは在庫をあまらせることなく、廃棄も出さないブランドとしてやってきました。
伝統工芸の技術やその美しさを伝えていくことを目指すブランドが、売れ残りを作ったり、その結果服を廃棄したりすることがあっては本末転倒です。現場に足を運び、その技術の高さや手間、苦労を知ればなおさらそんな選択肢はとれません。
そこで、伝統工芸を使用したアイテムに関しては生産背景をしっかり伝えた上での受注生産や、数を限定した在庫販売をしています。レナクナッタのアイテムは、お手元に届くまでお待たせしてしまったり、購入できる時期が限られていたりしますが、そうやってお客様の手元まで大切にお届けする喜びを共有しあえるファンのみなさまとつくりあげてきました。
また「セールを一切やらない」ことも決めています。1番最初に定価で買ってくださったお客様が、1番のファンのはず。レナクナッタのものづくりを応援してくださる方にできるだけ誠実でありたいと思っています。
レナクナッタに関わる全ての人が豊かな生活を送れるよう、そしてその人口を増やしていけるようこれからも丁寧なものづくりをしていきます。
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執筆・編集:吉田 恵理