和菓子の魅力 | Craft Talks by Aika & Natsuko #3

連載「Craft Talks by Aika & Natsuko」は、renacnatta(レナクナッタ)代表・大河内愛加と、金彩作家・上田奈津子が伝統工芸やものづくりについて、いつもとは違う視点で、すこし気軽にトークを繰り広げる企画です。
第3回目は、ふたりが大好きな「和菓子」がテーマ。それぞれのおすすめの和菓子を持ち寄り、実食しながらその魅力について語ります。
また、このトークはレナクナッタ公式Instagramで配信されたライブ配信を文字の形で残したものになります。実際の配信が気になる方は[こちら]からご確認ください。
和菓子と、子どもの頃の思い出

あいか:今回のCraft Talks第3弾、テーマは「和菓子」です。私たちは和菓子が大好きなんですよね。
なつこ:実は私、甘いものは子どもの頃からそんなに得意じゃないんですけど、今日はその私が好きなものを紹介したいと思います。
あいか:私たちいつも打ち合わせする時、和菓子を持ち寄ったりするんですよね。私は子どもの頃から甘いものが好きでしたけど、和菓子が好きになったのは京都に住んでからなんです。私は横浜出身なので、和菓子があまり身近になかったです。
なつこ:京都は人口の割合から見ると和菓子店が一番多いらしいですね。
あいか:この四条烏丸エリアでも何百年という老舗ばかり。横浜では甘いものが好きでしたけど、ケーキなど洋菓子ばかりでした。15歳からイタリアに住んでいて、母が「ないものは作ろう」精神の人だったので、小豆をチャイナタウンで買ってきて、あんこを家で作ったりしていました。そうすると、自分たちの好みに合わせて甘さを調節できるじゃないですか。それが美味しくて、そこからあんこが好きになったのかもしれません。
なつこ:私は子どもの頃、あんこが苦手でした。あんこって食べ慣れていくうちに、美味しさがわかってくる感じがありますよね。
おすすめの和菓子

あいか:早速、私たちが持ち寄った和菓子を紹介していきましょうか。
なつこ:そうですね。
あいか:まず私は、中村軒さんのおはぎを買ってきました。これは京都に来て和菓子が好きになるきっかけになったものなんです。

あいか:中村軒のおはぎをもらった時は「おはぎか。なんか大人っぽいな」って思って食べてみたら「こんなに美味しいの!」となって。そこから和菓子にハマりました。西京区にあるのでちょっとアクセスは大変ですけど、お店は桂離宮のバス停の前にあるし、駐車場もいっぱいあります。
なつこ:じゃあ観光で来て、レンタカーとかタクシーでも行きやすいですね。
あいか:今日は外国の方も来られていましたよ。きな粉のおはぎと、つぶあんのおはぎを買ってきました。
なつこ:おお、なんか粒が大きいのが見えますね。外の粒が。
あいか:繊細っていうよりも、ずっしりとした印象ですよね。このおはぎで私は和菓子に目覚めたんですが、おはぎって、やっぱり10代ではなかなか分かんないですよね。
なつこ:分からない。私も子どもの時は、おはぎが嫌いでした。
あいか:そう、京都の人ってどうなんだろうって聞きたくて。
なつこ:多分京都だから和菓子が好きとかはあまり関係なくて、それは好き嫌いがあるから。でも個人的に言うと、子どもの頃、あんこってとにかく甘い印象。あと、奥深すぎて子どもが好きな味じゃない。で、保育園とかでこういうのが出されても、口の中にずっとあって飲み込めない。
あいか:保育園で和菓子が出るんですね。
なつこ:うん。でも子どもにはちょっと渋すぎる。やっぱり大人になって口の中が慣れてくると「あんこ美味しいかも」みたいなのは出てきましたね。
あいか:京都の人は和菓子が身近にあるから、どうなんだろうって思ってましたけど、やっぱり人それぞれですよね。子どもは子どもですし。じゃあ次は、なつこさんの和菓子を紹介お願いします。
なつこ:私は、まるに抱き柏さんの和菓子を持ってきました。おはぎと内容としては一緒なんですが、これは「ぼたもち」。春は「ぼたもち」で、秋のお彼岸は「おはぎ」と言うらしいです。これ、食べてみてから何の味か当ててほしいです。あとこっちは草餅ですね。まるにさんは老舗がたくさんある京都の中では新しいお店です。老舗を修行して回った方が開いたお店で、西院にあるんですが、ほんっとうにおいしいから。

あいか:次は私の2個目を紹介します。果朋(かほう)さんという和菓子屋さんです。
なつこ:あ、知ってる。すごい綺麗なお店やね。
あいか:そう、2020年にできた、京都では超新しい和菓子屋さんで、果物とか洋風な味付けを取り入れてるところです。前に大丸京都店の地下でポップアップしてるときに見つけて、見た目が美しすぎて買ったのが最初です。美味しかったから今日も紹介したいなということで、店舗に行ってきました。
なつこ:お店のHPとか見てもすっごい綺麗やもんね。
あいか:瓶詰めされたみたらしが結構バズっているようで有名なんですが、私はこっちの王道な和菓子が好き。
なつこ:じゃあ次の私の分はセットで紹介します。生菓子って、地元の人じゃないと食べられないというか、現地で食べるのはありだけど、京都旅行に来た人が持って帰ろうと思ったらちょっと大変かなと思って、持ってきたものです。これ、甘栗なんですけど。
あいか:大好き…!
なつこ:大好き?
あいか:はい…!でも京都では買ったことないです。
なつこ :すっごい有名で、河原町とか、デパートの中とかにもある、林万昌堂(はやしまんしょうどう)さんです。これも、京都の人はみんな知ってる感じのお店の甘栗納糖という商品です。
あいか :栗屋さんがやってるんですか?マロングラッセみたい。
なつこ: そうよね。その時でしかないものとかが結構あるから。おはぎとかもそうだし。
あいか :今なら、桜餅とかね。じゃあ早速食べていきましょうか。果朋さん、前回はナツメと黒糖と白餡、クルミを使ったものを食べてすごく美味しかったんです。
なつこ:そう、最近は変わり種が多いですよね。
あいか:ここは二条城の駅から近いんです。
なつこ:そうね、歩いていけますよね。二条城観光のついでに寄っていただけると。
あいか:ただ、これは冷蔵が必要なので、旅行のお土産には少し難しいかもしれません。でも、他の商品は持ち帰れるものも多いですよ。
なつこ:そうですね。瓶詰めとかもありますし。
あいか:甘納豆みたいなものもあって、何より見た目が可愛いんですよね。
なつこ:最近は洋菓子のような商品も多いし、甘さも控えめで、昔の和菓子のような重たい感じのイメージはないかも。
あいか:そうですね。実は今日、好和 (このわ)さんという西陣の和菓子屋さんの商品も持ってきたかったんです。女性一人で経営されているお店なんですが、今日は店主の方が出張中でお店を閉めているということで、泣く泣く諦めました。
好和さんには、東京でお茶会をした時にレナクナッタオリジナルの和菓子を作ってもらったのですが、ピスタチオ餡を使ったものがすごく美味しかったんです。和菓子を作る時、私のイメージも伝えつつ、好和さんの感覚も入れて作ってほしいとお願いしたら、たくさんの種類を作ってくれて。真っ白な羽二重のお菓子がすごく美味しかったんですけど、お茶会の1回目は華やかさが欲しかったので却下したんです。でもそれは本当に驚くくらい美味しくて、ふわふわで。機会があれば今度はそれを出したいなって思っています。
なつこ:和菓子職人って男性が多い中で、女性ならではの感覚で新しいものを作る、いいですね。最近はそういうアップデートされた和菓子が増えてきて楽しいですよね。
あいか:そう、パーティーや特別な時にオーダーもできて。私の場合は、イタリアの要素を入れたかったのと、その時リリースしたワンピースが緑だったので、それに合わせてピスタチオ餡をオーダーしたんです。それにワインに漬けたクコの実を入れてもらって。

なつこ:赤と緑で、まさにイタリアカラーですね。
あいか:そう、めちゃくちゃ美味しかったです。素晴らしかった。
なつこ:だんだん嗜好がケーキみたいになってきましたよね。昔は小豆と砂糖だけみたいな感じでしたけど、こうやって創作してもらえると、もっと広がりが出てきてね。
あいか:さて、いただきましょうか。まるに抱き柏さんのぼたもちから。この葉っぱなんだろう…見た目で言っていいですか?キャベツ?
なつこ:キャベツではないかな(笑)ちょっと食べてみよう。
あいか:いただきます。…え!わさび菜?
なつこ:そう、わさび菜です。衝撃的に美味しいでしょ。

あいか:すごくわさび!え、わさび自体も入ってる?
なつこ:ちょっと入ってるよね。これ、静岡の本わさびを使ってるらしくて、すっごく香りがいいの。爽やかで、激辛とかじゃない。
あいか:おいしい!
なつこ:美味しいよねこれ。甘さと辛さとしょっぱさと、いろんなのが層になって。ご飯の潰し具合もすごく好み。
あいか:確かに結構潰れてますね。すごく美味しいですよね、これ。私もまた買いに行きたい。
なつこ:なんかリピートしそうでしょ。
あいか:これ衝撃的においしい。わさび、合うんだ!私、わさびが好きってわけじゃないんですよ。けど、これはとても好きです。
なつこ:なんかちょっとこう、爽やかさを出すためのわさびみたいな感じですけど。すごいわさびの香りがいいですよね。いいよね。シャキシャキさも残ってて。
あいか:なつこさんもぜひ私が持ってきたやつ食べてください。まずは果朋さんから。

左から、マスカルポーネ餡に檸檬餡そぼろをあわせた「花菜」、さくら餡を上用皮で包んだ「一凛」
なつこ:じゃあこれ、桜がついてる塩漬けかな。いただきます。ちょっとここ、断面見せたいわ。すごいピンク色。これも塩気が効いてて美味しいです。最近の甘いだけじゃないっていう。

あいか:可愛いね。やっぱりここは本当に見栄えも気にしてる。
なつこ:甘いものが得意じゃない人とかでも、最近の和菓子は食べれるっていうのが多いと思う。これも美味しい。
あいか:じゃあ次、栗いただきます。栗の甘納豆を初めて食べた。
なつこ:えっ、ほんとに?
あいか:マロングラッセよりしっかり栗の味がして美味しいです。
なつこ:子どものときは甘納豆が苦手だったんだけど、この栗の甘納豆だったら食べれる、という感じでした。
あいか:私も甘納豆はそんなに得意じゃないんですけど、SHUKAという甘納豆屋さんの四代目が立ち上げたブランドがあって。甘納豆の技術は残しつつ、使う素材はピスタチオやいちご、カカオとかで。それがすごく好きです。あそこも甘さを調節してるし、程よい歯ごたえがあって。これも、結構歯ごたえがありますね。
なつこ:うんうん、そうね。
あいか:うん、おいしい。私、祖父母が名古屋なんですけど、天津甘栗の有名なお店があるんです。小さい時から送ってもらったりとかしていた思い出です。
なつこ :で、ここなんかね、年中やってんのかな。アイスとかもあるの。甘栗アイス。
あいか:へえ、美味しそう。
なつこ:発送とかもしてくれるから。あと、袋入り甘栗も持ってきました。小さいのと大きいのとあって、今回はおっきい方。

なつこ:あ、剝くの上手。もうどういう風に剥けばいいかわかってる。河原町のお店の前通ったら、すごいいい香りがするのよ。
あいか:あれ、みんな引き寄せられますよね。
なつこ:多分スーパーとかで売ってるようなものとかだったら日持ちするのかな。でもこれ多分3日ぐらいしか日持ちしなかったような気がするな。だからお土産で買ったとしても、家族で食べるとかそれぐらいの方がいいのかもしれないけど。
あいか:美味しい。イタリアも冬に栗が出るんですよ、屋台で。別にこういうブランドとかじゃなく、なんて言うんだろう、普通に飲み物売ってるような屋台が栗も焼き始めるんです。
なつこ:焼き栗よね。うんうん、そう、焼き栗も美味しいよね。
あいか:うん、イタリアの栗も結構美味しいので。
なつこ:そうなんや。こっちだと丹波栗とかの方が結構有名で、焼き栗とかにするときはちょっとおっきくて国産のものを使いますね。
あいか:ミラノは、冬になったら栗が出てきて、それを食べるというのが風物詩という感じでした。
なつこ:やっぱり、海外とかも、栗とかはフランスとかでも同じこと言ってるよね。焼き栗の話はよくあるけど、結構定番なのかな。やっぱりどの国も。
おわりに
なつこ:和菓子、今後はどんなのを食べてみたいとかありますか?
あいか:私、練り切りの体験がしたくて。自分で作った和菓子。お茶も始めて結構好きなので、作って食べてみたいです。
なつこ:なんか楽しそうよね。餡を切ってみるとか、濾してみるとか。
あいか:この事務所のすぐ近くに、祇園の菊水鉾(きくすいほこ)のお茶会に出してる羊羹を作ってる和菓子屋さんがあって、それがすごく気になってて。前は祇園祭の時のお茶の席でしか提供されなかったけど、今は通年そこで買える状態になってて。黒糖たっぷりの「したたり」という名前のお菓子なんです。なつこさんはどうですか?
なつこ:京都に住んでてもまだ食べたことないのが、れんこん餅。他の地域にもあるのかな。夏になるとひやし系のつるっとした食べ物が多くなると思うんだけど、そういう時に食べたいかな。あんこが苦手な人とかも食べれるし、そういうのもいいかなって思う。
あいか:いっぱいありますね。
なつこ:季節によっても変わってくるからね。定番なんて食べてる暇ないぐらい。限定ものもあるからいいですよね。
あいか:これからも開拓していきましょうね、和菓子。ということで、今日は私たちのおすすめの和菓子を紹介させていただきました。皆さんも京都にいる方や京都に来られるときは、ぜひ参考にしてみてください。
なつこ:ありがとうございました。
今回紹介した和菓子屋さん
中村軒
紹介した和菓子:おはぎ
HP:https://www.nakamuraken.co.jp/
まるに抱き柏
紹介した和菓子:ぼたもち(わさび)
HP:https://www.instagram.com/maruni_dakigashiwa/
果朋
紹介した和菓子:果霞 花菜、果霞 一凛
HP:https://kahou.kyoto/
林万昌堂
紹介した和菓子:甘栗納糖、袋入り甘栗(厳選大甘栗)
HP:https://www.hayashi-mansyodo.jp/