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伝統的な織物「丹後ちりめん」とは。特徴や歴史、着物との関係を紹介

日本の伝統的な織物である「丹後ちりめん」。江戸時代に生まれたこの織物は、現在新たな進化を遂げ、注目されているのです。

今回は、丹後ちりめんとはどんな織物なのかということや、進化した丹後ちりめんについてご紹介します。


丹後ちりめんとは?最大の特徴はその製法にあり

丹後ちりめんとは、京都府・丹後地方の伝統的な織物のこと。

生地表面に「シボ」と呼ばれる凹凸が浮かび上がるこの織物は、ハレの席から偲ぶ会までどんなシーンにもマッチする着物の素材として多くの人に親しまれてきました。

丹後ちりめん最大の特徴は、独自の製法です。たて糸と、強い撚り(より)をかけたよこ糸を交互に織り込んだ後、丹後ちりめんの美しさの象徴を発現させる「精練」を行います。

精練とは、織物に付いた糊などを落とす作業のこと。同時に、撚りをかけたよこ糸を戻し、丹後ちりめん独特のシボと風合いを出す大切な工程でもあるのです。

シボのある丹後ちりめんはシワがよりにくく、しなやかで、豊かな染め上がりになるため、誕生以来強い人気を誇っています。

動画では、ちりめんづくりの過程がより詳しく分かる製造風景もご紹介しています。


着物と丹後ちりめんの関係。着物作りを下支えしてきた織物

丹後ちりめんは、友禅染をはじめとした日本の代表的な着物の生地として、使われてきました。

丹後でつくられたちりめんの多くは「白生地」と呼ばれる、染める前の反物です。これらは一度京都の問屋などへ行き、各地で染色され着物地となります。染色性に優れ、柔らかな光沢と多彩なシボの柄を持つことで重宝され、美しい着物作りを下支えしてきたのです。

丹後ちりめんの発祥地である京都府・丹後地方では、なんと日本の着物生地の約7割が生産されているのだとか。

また、丹後地方が日本最大級の織物産地となったのは、豊かな自然も関係しています。

この地域特有の季節風をともなう不安定な天気「うらにし」によって、適度な湿気が生まれ、生糸にとって最大の敵である乾燥の心配がありません。加えて、雨や雪の日が多いからこそ、大量の水を使用する丹後ちりめんの生産地として歴史を重ねています。


丹後ちりめんの種類。代表的なちりめんは2種

丹後ちりめんにはいくつかの種類がありますが、代表的なものは以下の通りです。

一越ちりめん
二越ちりめん

それぞれの特徴についてお話していきます。


一越ちりめん

一越ちりめん(ひとこしちりめん)とは、たて糸に撚り(より)をかけた2種類のよこ糸を各1本ずつ使って織り合わせた生地です。

丹後ちりめんの多くが一越ちりめんであり、シボが細かく上品な風合いで高級品とされています。


二越ちりめん

二越ちりめん(ふたこしちりめん)とは、たて糸に撚り(より)をかけた2種類のよこ糸を各2本ずつ使って織り合わせた生地のこと。

一越ちりめんよりシボが大きいため、繊細さと大胆さを併せ持ったアイテムを求めている方に人気の織物です。


丹後ちりめんの歴史。人々の情熱が生み出した技法

今なお丹後ちりめんが愛され続けているのは、誕生までの苦難と、それに負けない人々の情熱が現代まで受け継がれているからかもしれません。

ここからは、丹後ちりめんの歴史についてご紹介します。


丹後ちりめんのルーツは1300年前

丹後ちりめんのルーツは、1300年前の奈良時代までさかのぼります。

711年、元明天皇は丹後地方を筆頭とした21ヶ国に、高級織物の技術を指導する「挑文師(あやとりし)」を派遣したそうです。その際、丹後地方の人々が錦や綾といった美しい絹織物の織り方を習得したのだとか。

この出来事が、丹後地方における絹織物生産の起源といわれているのです。


江戸時代、丹後ちりめんが誕生

丹後ちりめんが誕生したのは、江戸時代とされています。

当時、京都で絹織物「お召ちりめん」が開発されたため、丹後の絹織物が売れず、人々は生活に困っていました。

そんな中、立ち上がったのが絹屋佐平治(きぬやさへいじ)です。「お召ちりめん」の技術は門外不出とされていましたが、彼は京都の機(はた)を織るお店へ奉公に行き、秘伝の技術を学びながら日々研究に打ち込みました。

断食祈願まで行った絹屋佐平治の努力により、独自のちりめん織が生まれたのです。

また同じ時期に、木綿屋六右衛門(もめんやろくえもん)も、人々の危機を救うべく手米屋小右衛門(てごめやろくえもん)と山本屋佐兵衛(やまもとさへえ)を京都に送り出したそう。苦心の末に技術を習得した後、彼らは独特の風合いがあるちりめん織を完成させたのです。

絹屋佐平治ら4人は、ちりめん織の技術を地域の人々に伝えたことから、私たちの和装文化を支える丹後ちりめんが広まりました。


進化する丹後ちりめん。ポリエステルなどの新素材との出会い

約300年前に誕生した丹後ちりめん。絹が主流だったこちらの織物は、新素材と出会って新たな進化を遂げています。

近年話題になっているのは、ポリエステルを使った丹後ちりめんです。シワになりにくいため洗濯も気楽にでき、乾きも早いため、洋服やインテリアから雑貨など様々なシーンで欠かせないものに。

他にも、シルク60%・和紙40%など、異素材を組み合わせた丹後ちりめんも。江戸時代に苦難の末誕生した織物は、現代の文化と混ざり合いながら発展し続けているのです。


伝統と新たな可能性を纏う「Tango Chirimen Collection」

私たちレナクナッタでは、丹後ちりめんを使用したコレクション「Tango Chirimen Collection」を展開しています。

あえて主流ではないポリエステル素材と掛け合わせたことで、絹には出せないちりめんのおもしろさが感じられるアイテムに。シワやクセがつきにくく型崩れもしづらいため、お手入れしやすく普段使いにも最適です。


丹後ちりめんを使った「Tango 2Way Dress」

絹では表現できない大きなシボ(凹凸感)があるため、太陽光の乱反射によって、時間帯で印象が変わるのも特徴の1つ。お呼ばれの席にもしっくり馴染む丹後ちりめんの美しさを、ぜひ感じてみてください。


丹後ちりめんのお手入れ方法は?素材によって扱いが変わる

丹後ちりめんを手に取る前に、ついつい悩みがちなお手入れ方法。「絹から作られているのか」など、素材によって扱いは異なります。

レナクナッタのコレクション「Tango Chirimen Collection」は、ポリエステル素材を使った丹後ちりめんのため、ご自宅で洗濯機を使ってお手入れすることが可能です。ネットに入れて洗濯をした後は、吊り干しをすることで長く着続けられます。


しなやかで優美な魅力。長い歴史が詰まった「丹後ちりめん」

今回は、丹後ちりめんとはどんな織物なのかということや、進化した丹後ちりめんについてご紹介しました。

独自の製法によってシボを生み出した丹後ちりめんは、しなやかで豊かな色合いを感じさせる京都・丹後地方の伝統的な織物です。

最近では、ポリエステル素材を組み合わせたものも出ており、ぐっと身近な存在となりました。「今日はおめかししたい」なんて気分に優しく寄り添ってくれる丹後ちりめんでできたアイテムを、この機会に探してみてはいかがでしょうか。

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執筆:mami

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