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# 6月の和菓子・水無月の魅力 | Craft Talks by Aika & Natsuko #4

連載「Craft Talks by Aika & Natsuko」は、renacnatta(レナクナッタ)代表・大河内愛加と、金彩作家・上田奈津子が伝統工芸やものづくりについて、いつもとは違う視点で、すこし気軽にトークを繰り広げる企画です。

第4回目は、「水無月」がテーマ。6月になると京都中の和菓子屋さんをはじめとした店先に並ぶのがこの「水無月」というお菓子です。一体どんなものなのか、ふたりのおすすめの水無月を実食しながらその魅力について語ります。

また、このトークはレナクナッタ公式Instagramで配信されたライブ配信を文字の形で残したものになります。実際の配信が気になる方は[こちら]からご確認ください。


6月の京都に欠かせない和菓子「水無月」

あいか:Craft Talks第4回目が始まりました。前回も和菓子についてお話しましたが、今回も和菓子がテーマです。今日は「水無月」について、実際に食べながらお話したいと思います。水無月ってみなさんご存じでしょうか。

なつこ:私は京都でずっと育っているので、この季節になるとスーパーにも普通にたくさん並んでるから、メジャーなものだとずっと思ってたんです。他の都市はどうなんでしょう。

あいか:私は京都に来てから知りました。京都の人の水無月への愛がすごすぎて、この時期は私も食べなきゃという気持ちになります。

なつこ:そんな感じがしますよね。

あいか:水無月について簡単に説明すると、京都では6月30日の夏越の祓(なごしのはらえ)に食べる和菓子として水無月が親しまれています。夏越の祓というのは、お正月から6月30日まで半年間の汚れを払って、次に来る7月からのまた半年間を無病息災で過ごせるよう願う神事です。その時に食べる水無月は、上に乗っている小豆が厄除けの意味を持っています。

なつこ:そうなんですよね。

あいか:三角形は氷を表していて、昔、氷は貴族しか食べられない貴重なものでした。庶民が氷を食べることは難しいけれど、それに似たお菓子を食べて涼しさを感じようということで、三角形になったそうです。厄除けと、暑さを忘れられるような、そんなお菓子が水無月になっています。旧暦の6月ということで、水無月という名前がついてるんですよね。あと、水無月は、本当に人気店や老舗屋さんは予約しないと当日は買えないんですよね。

なつこ:そうそう、デパートに予約をしたり、和菓子屋さんに予約して、それを取りに行くというのが、もう行事みたいな感じになってる。

あいか:私はそこまですごいとは知らずに、最初に水無月を食べようと思った時は、もうどこも売り切れで。結局食べることはできたんですが、行きたかったところでは食べられなかったりとか。

なつこ:たしかに人気店は当日はちょっと難しいかな。

あいか:お店で「水無月はありますか」と聞いても、「ないですよ(笑)」みたいな感じでした。去年はどこの水無月を食べたかな、と思ってSNSを遡ってみたら、ちょうど1年前、6月30日よりもすこし前に、なつこさんと仙太郎の水無月を食べてたんです。

なつこ:じゃあ、今日もまた同じですね。

あいか:また同じお店の水無月を1年後に食べるという偶然でね。今日は老舗のお菓子屋さんである仙太郎さんと、あとすこし変わった水無月も用意してるので、そのふたつを食べながらお話していきたいと思います。


水無月初心者にもおすすめしたい、仙太郎の水無月

あいか:まずは仙太郎さんの水無月をいただきましょうか。この企画を考えた時に、どこにしようかという話になったじゃないですか。とらやにしようかとか。結局、仙太郎が一番買いやすいということで選びました。事務所が大丸に近くて、百貨店の地下に入ってるのも本当にありがたくて。今日もすごい長蛇の列で、みんな買ってました。

なつこ:それでなくても、あそこはいつも長蛇の列だからね。

あいか:10分ぐらい並んで、みんな他のものも買いつつも、水無月も買ってた。

なつこ:たしかにね。

あいか:仙太郎の水無月は、お菓子の下の部分・外郎(ういろう)が白のオーソドックスなものと、黒糖、あと抹茶があって。今日は一番オーソドックスな白を食べたいと思います。いただきます。

なつこ:黒糖と、このプレーンな白タイプが多くて。ほかにもほうじ茶とかもありますよね。

あいか:ほうじ茶もあるんですね。食べてみたい。そして仙太郎の水無月は美味しいですね。小豆が大納言なので大粒で。

なつこ:外郎よりももっと、もちっと感があるね。

あいか:美味しい。外郎が苦手な人も多いじゃないですか。私もそんなに好きじゃないんですけど、これは食べられる。

なつこ:ちょっと弾力があるよね、外郎って。仙太郎さんのはそれよりも、もうすこしお餅寄り。

あいか:大福の皮みたいな感じがするかも。

なつこ:たしかに、もちもち感は違うかも。

あいか:美味しい。小豆の味もすごく濃いですね。

なつこ:ひとつずつが大きいしね。

あいか:多分去年は、黒糖と抹茶を買ってたと思う。でも白はあまり買わなくて。

なつこ:他の地域でこんなものがあるとか聞いてみたいね。あったら教えてください。

あいか:コメントが来てますね「甘さは強いのでしょうか?」とのこと。仙太郎は甘さ控えめですよね。

なつこ:お店によって違うよね。それこそ使う小豆やお砂糖によって全然違うから。仙太郎さんは甘くない。

あいか:小豆の味がホクホクしっかりしてるという感じで。もっと柔らかく煮て甘々なものもありますよね。でも、私たちはそういうのはちょっと好みじゃない。あと、どこの水無月を買おうかと調べた時に、仙太郎はいろんな人が食べやすいとおすすめしてました。

なつこ:スタンダードで、一番万人受けするというか。

あいか:外郎がちょっと苦手な人にもいいかも。


夏のはじまりを告げる、水無月と夏越の祓

あいか:京都の人にとって水無月は「これを買わなければ夏が始まらない」みたいな感じですよね。「どこの水無月買った?」みたいな。

なつこ:行事ごととしてね。

あいか:多分6月30日のSNSのタイムラインは水無月だらけだと思う。

なつこ:たしかにそう。あと、外郎の話に戻るけど…外郎の部分が、外郎じゃなくて葛を使ってるとか、そういうのだともっと柔らかくて、もっと滑らかで、また味が全然変わってくると思う。

あいか:次に買ってきたものも違いますしね。お楽しみに。またコメントいただいています「お店によって違うんですね、食べてみたいです」とのこと。京都はこの時期これをめちゃくちゃ売りにして、どの和菓子屋さんも水無月が店頭に並んでますね。意外と販売期間は長くて、たとえば仙太郎は4〜8月まで販売されてます。

なつこ:結構長いよね。

あいか:たしかに前から5月頃から売り出してるなとは思ってたけど、そんなに早くから売ってたんだと思いました。なので春夏に京都に来られたらぜひ。仙太郎はいろんなところに店舗があるし買いやすいですしね。私はいつも京都大丸店で買います。

なつこ:あいかちゃんとの打ち合わせ、仙太郎率高いもんね、おはぎとか。

あいか:そうなんです。

なつこ:水無月は京都の文化ということだけど、みんな知らないかな、やっぱり。

あいか:うん、多分全国的には全然メジャーじゃないと思いますが、もしかしたら恵方巻きみたいな感じで広まるかもしれません。あれは大阪発祥で、今ではもう全国で恵方巻きを食べますよね。

なつこ:そうですね。

あいか:多分、コンビニとかが売り出したらすぐ広まりますよね。コンビニの販売戦略で、バレンタインみたいな感じで。

なつこ:こんなに素朴な味が(笑)。

あいか:たしかに素朴だから広めるの難しいか(笑)。またコメントいただきました。「あいかさんのインスタで初めて知りました」。とのことで、私が毎年アップしているからかな、「今年はこれを食べた」みたいな。なつこさんは今年30日当日は何か予約していますか。

なつこ:今年はしていないですね。でも去年はとらやで。

あいか:めちゃくちゃ綺麗でしたね、あれ。

なつこ:とらやさんはちょっと小さめで、甘いものをたくさん食べられる人はすこし物足りないかもしれないけれど、私は小さいのがよかったから。

あいか:カットが上手というか、すごく綺麗でした。

なつこ:綺麗ですよね。とらやさんもすごく並びますからね。

あいか:私、今年はどうしようかな。でも、今日2個食べられるからもういいやという気持ちもあるけど。

なつこ:水無月を知らないということは、夏越の祓に輪をくぐるとかも知らないですよね、みんな。

あいか:絶対知らないと思います。神社の茅の輪くぐりですよね。

なつこ:知らないのかぁ。

あいか:あれはインスタ映えスポットでちょっと有名ですよね。でも、本来の意味を知っている人は少ないかもしれません。夏越の祓というワードもあまり。

なつこ:京都だけの風習なのかな。草で作られた大きな輪をくぐることで、半年間の穢れを祓い、無病息災を願うものです。

あいか:旧暦の風習だから全国的なものだけど、京都が特に大事にしているという感じじゃないでしょうか。京都は、これだけじゃなく季節の和菓子とかをすごく大切にしてるから。柏餅、桜餅とか、いいなって思います。選択肢がいっぱいあるのもまたいいなって思います。美味しいお店がいっぱいありますしね。


衝撃の美味しさ!SHUKAの変わり種水無月を実食

あいか:もうひとつ水無月を紹介したいと思います。超超変わり種で、私のインスタを見ている人は結構出てくるからご存じかもしれませんが、SHUKAというお店のものです。元々甘納豆屋である斗六屋(とうろくや)という、創業100年ぐらいの老舗の甘納豆屋さんの跡継ぎの方が立ち上げたブランドです。「種を愉しむ」というコンセプトを掲げていて、ここが元々ずっとオーソドックスな水無月を出していたんですが、去年でそれが終わりになって、今はこの変わり種の水無月だけになりました。

なつこ:可愛い。

あいか:可愛いでしょう。ピスタチオと小豆です。これも大納言小豆だったと思います。斗六屋の水無月を去年食べて、やっぱり甘納豆屋さんがやっているから、豆がホクホクで、食感をすごく残していて、とても美味しかったんです。SHUKAの水無月は完全に小麦粉を使わないということで、下が道明寺粉なんです。道明寺粉でやっているのは多分ここだけで。

去年までは斗六屋も水無月を作っていたけれど、SHUKAの水無月を完全に小麦粉なしにするにあたり、同じ工場で小麦粉を使うのはよくないということで、斗六屋の水無月をやめたそうです。

なつこ:じゃあ、小麦粉がダメな人もいけるんですね。

あいか:食べられます。で、寒天でコーティングしているということです。

なつこ:だからちょっとキラキラしているんですね。お先にいただきます。

あいか:道明寺だから全然違いますね。

なつこ:たしかにツブツブで…全然違う!

あいか:あとピスタチオがね。これはもう本当にここだけのオリジナルです。

なつこ:香りも違う。

あいか:本当だ。ちょっと洋な感じがします。

なつこ:ん〜!好き!

あいか:これはSHUKA社長の近藤さんも喜びます。

なつこ:これは、この方がいい!これがスタンダードの方がいい。

あいか:みんな水無月、これにした方が(笑)。美味しいです。豆の食感がすごい。

なつこ:これ、いいです。

あいか:お豆がいっぱいです。ツブツブで美味しいですよね。道明寺も美味しいし、この豆が、いい意味で固いというか。

なつこ:これは衝撃的です。美味しい。

あいか:これはですね、今年は催事の関係で6月28日と29日しか販売していなくて、すごく貴重で。今日は他の催事に合わせて特別に作っていて、だから今日、これに合わせて収録したんですよ。やっぱり6月30日とかに収録してしまうと、文字起こしの記事が、水無月シーズンが終わった時になってしまうから、ちょっと早めにやるということで。今年のSHUKA水無月の販売は6月28日と29日。当日は他のイベントか何かで買えないって言っていたので、ちょっと要注意です。

なつこ:道明寺粉がいいなぁ。

あいか:道明寺粉、私もすごく好きで。ここのジェラートにも道明寺粉が使われているのがあって、桜餅ジェラート。それもめちゃくちゃ美味しいので試してみてください。

なつこ:いわゆるあんこというものじゃなくて、豆が入っているという感じだから。

あいか:そうそう、あんこじゃないですね、これは。

なつこ:だから甘さがすごく控えめで、重くないです。美味しい。

あいか:このピスタチオも新鮮ですよね。

なつこ:これ、和菓子があまり得意じゃない人も食べられるんじゃないでしょうか。

あいか:そうですね。これは美味しいです。他のお店みたいに、この時期毎日売っていますというのではないので、そこだけちょっと要注意です。普段は甘納豆の技術を使った種菓子とかジェラートとかはあるけど、これは本当にこの時期だけ特別です。

なつこ:でも、基本的にSHUKAさんのものって甘さ控えめで美味しいものが多いですよね。

あいか:社長が研究者で、微生物とかの研究をしている人だから、多分すごい数値を割り出してやっているんでしょうね。その人が味を作っているので、すごいセンスだなって思います。

なつこ:SHUKAさん、いつも結構メディアとかにも取り上げられているから、知っている人も多いかもしれませんが。

あいか:これは貴重ですね。美味しいです。


TV番組「LIFE~夢のカタチ~」に金彩上田が登場

あいか:あと、今日はテレビ放送お疲れ様でした。

なつこ:ありがとうございました。

あいか:みなさん、見ましたか?関西の方。「LIFE~夢のカタチ~」という佐々木蔵之介さんがナレーションを務めるドキュメンタリー番組で、なつこさんとなつこさんのお母さんが金彩のお仕事をされていて、それの特集で、私たちもコラボ先の企業として紹介してもらいました。

なつこ:いつも一緒にやっているイヤリングとか、スカーフとか、そういうものを前面に特集してもらって。非常に反響も大きかったですね。

あいか:涙が出ました。なつこさん達を知っているからというのもありますが、なつこさんのお母さんの涙にちょっとつられてしまって。話は水無月に戻りますが、SHUKAの水無月は仙太郎のものとは全然別物ですね。

なつこ:この感じをちょっと味わってほしいな、みんなに。スタンダードな美味しさと、この驚きの美味しさと。

あいか:だからこの時期に2個食べたい人とか、多分もっと買う人もいると思うけれど、そのひとつに加えてほしいですよね。王道も食べつつこれも食べると、その違いがすごくわかって美味しいです。

なつこ:これはなかなか衝撃的な出会いでした。

あいか:よかったです。ぜひ、なつこさんの毎年のラインナップに入れてください。

なつこ:それにしても、ひとくちに水無月といっても本当に多様だね。この前一緒に、水無月の食べ比べサイトみたいな感じのを見たけど…ああいうのを見ているだけでも、やっぱり個性が出るというか、面白いなと思いました。

あいか:やっぱり京都の人は特にみんな買うから、その時の宣伝隊長みたいな感じですよね、水無月が。それをみんな目当てに、他のものもちょっと買うみたいな感じで。でも私は仙太郎、やっぱり好きです。美味しい。

なつこ:いいですよね。美味しいです。まずはこれを食べて、みたいな感じです。

あいか:迷ったら仙太郎ですね。しかも本当に買いやすいので、いろんなところにお店があるし、でも、ちゃんと老舗だし。ぜひみなさんも食べてみてください。では、また次回のCraft Talksも楽しみにしていてください。

なつこ:ありがとうございました。


今回紹介した和菓子屋さん

仙太郎
紹介した和菓子:みなづき 白
HP:https://www.sentaro.co.jp/

SHUKA
紹介した和菓子:SHUKA水無月
HP:https://shuka-kyoto.jp/

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