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renacnatta Tea Ceremony in Tokyo<イベントレポート>

2024年12月、renacnatta(レナクナッタ)はブランドの世界観に触れていただけるお茶会を開きました。このイベントは、「茶道文化」をテーマに夏にリリースした丹後ちりめんのワンピースと羽織に合わせて企画したものです。

イタリアのデッドストックスカートから始まったレナクナッタが、なぜ茶道文化に着想を得た服を作ったのか、その背景はぜひこちらの記事をご覧ください。

なぜ、renacnattaが「茶道の美意識を纏う服」を作るのか

「せっかくならレナクナッタらしいお茶会を」そんな思いと共に、茶の湯という文化・お茶という産業の架け橋となる事業を行う株式会社TeaRoomに相談。何度も打ち合わせを重ね作り上げたお茶会は、イタリアと日本のマリアージュをテーマに、おもてなしや食の体験をしていただける機会となりました。

今回は、そんなレナクナッタのお茶会のイベントレポートをお届けします。


はじまりに、冬至を感じるサプライズ

12月、冷え込みも厳しくなってきた年の瀬に、都内のお茶室でイベントが開催されました。参加者のみなさまが集まり小間に入ると、まずは大河内から挨拶が。

「茶道というのは、お茶だけでなく書やお花、そしてお菓子など日本文化がたくさん詰まっています。そして、おもてなしの心遣いや作法もとても美しいんです。ブランドを通してこの美しさをお客さんと共有できたら…そんな思いでお茶会を企画しました。ぜひ、五感で楽しんでいただけたらと思います」

続いて、今回のお茶会を取り仕切ってくださった、みくぼ笑り子さんから本日のお茶会の流れをご紹介いただきます。

「今回はせっかくなので、ただお茶を飲むだけではなくて、茶道のおもてなし本来の形式である『茶事(ちゃじ)』の雰囲気に触れていただける形にしました。短い時間ではありますが、お茶の世界を体験していただけれれば嬉しいです」

参加いただくみなさまに、少しでも気楽に楽しんでいただきたい思いから、今回はお洋服での参加はもちろんOK、足がしびれたら崩してもいいし、作法を知らなくても大丈夫な会として場を設けていただきました。

気楽に参加いただける会とはいえ、用意いただいたおもてなしは茶道の奥深さを感じられる本格的な形式です。室内のいたるところにもさまざまな工夫がありました。

たとえば床の間の掛け軸。禅語の『古今無二路(ここん にろなし)』という文字がかけられており、みくぼさんがこの掛け軸を選んだ理由を説明してくれました。

「これは『賢人の行く道は、今も昔も根本的にはふたつとない』という意味なんですが、同時に『目の前のことを必死にただひたすらやり続けると、それが真のものになってくる』という意味もあります。

実はこの言葉は『達者共同道(たっしゃは ともに みちを おなじくす)』と続きます。『達者』、つまり先祖の方々も同じようにしてきたというような意味があるそうです。個人的に、あいかさんの物事を真っすぐ見据える姿勢、 今を模索しながら古いものも大切にする心に繋がるなと思い選ばせていただきました」

また、イタリアがテーマのお茶会ということで、『二路』は日本とイタリアという意味としても捉えられるというお話も。

みなさん、まさかレナクナッタや大河内自身とこんなにも関わり深い言葉だとは思わず驚きの声が上がる瞬間でした。

続いて出てきたのは、朱塗りのお椀。

お椀をあけると、ふわりと柚子の香りがひろがります。

「まずは、ちょっとした『懐石(かいせき)』を食べて、場所を移動してからお茶をいただく形になります。こちらはふろふき大根です。最初のアイデアではなかったんですが、寒いですし、冬至の翌日ということでご用意させていただきました」

一緒に出していただいた『古木茶(こぼくちゃ)』と一緒にいただくと、お腹の中からぽかぽかとあたたまります。もともと『懐石』という言葉は、修行僧が寒さや空腹をしのぐために温めた石を懐に入れていたことに由来するもので、懐に入れる温石のように体を温め、空腹を和らげるくらいの軽い食事という意味があります。

まさにこの季節の『懐石』にぴったりなおもてなしをいただいて、みなさん「お茶とお菓子だけだと思っていたから嬉しいです」「季節を感じられますね」と和やかに盛り上がりました。


イタリアのエッセンスを感じる茶道体験

『懐石』をいただいた後は、すこし広いお部屋に移動します。茶道具やお釜がある、茶室です。

この部屋の床の間を見ると、レナクナッタファンならピンとくるアイテムが飾られています。そう、『焼箔』を使った『Yakihaku Art Panel』です。

『焼箔』は和紙の上に漆を用いて銀箔を纏わせ、硫化して変色させたもの。侘びた味わいを引き出すための古くから伝わる技法です。本来は『焼箔』を0.3mmほどの糸状に切り、西陣織の帯に織り込むものですが、レナクナッタでは『焼箔』の魅力が1番伝わる商品をつくりたいという思いから糸状に裁断する前のものをアートパネルとして展開しています。

ブルーが美しい花器とのコントラストに見とれていると、みくぼさんと大河内の説明がはいります。

「花入れはイタリアの古い焼き物です。昔、私がいただいたもので、ちょっと存在感が大きすぎて使うタイミングを悩んでいたのですが…今回のお茶会にこそぴったりだと思い、お持ちしました。お花の蕾はあいかさんのセレクトです」(みくぼさん)

「ご用意頂いたお花の中でも地味な子だったんですけど、侘び寂びの雰囲気がアートパネルと合うかなと思い選びました」(大河内)

床の間を拝見した後、まず登場したのはオリジナルデザインの生菓子。こちらは京都・西陣の町家で和菓子店を営む好和(このわ)さんに特別にお願いしたものです。

白い布がくしゃっとなり、まるで花が咲いたような意匠が印象的です。中には今回発表したワンピースの色合いに重ね合わせたようなピスタチオ餡を入れ、イタリアらしい風味を感じられる一品に。中には、さりげなくクコの実のワイン漬けも忍ばせました。

「このお菓子は『Fiore in Tessuto(フィオーレ イン テッスート)』と名付けました。『布のお花』という意味です。お洋服を扱っているレナクナッタらしいお菓子に仕上げていただきました」

参加者のみなさまからは、「緑、白、赤とイタリア国旗の3色にもなっていますね」「金箔は金彩のイメージですか?」とさまざまな解釈もいただき、和やかなひとときを楽しみました。

お茶菓子のあとはいよいよ、お抹茶をいただく時間です。今回の茶会を取り仕切ってくださるみくぼさん自らお点前を披露してくださいます。

美しい所作に見とれつつ、ひとつずつ点てていただいたお茶をいただきます。寒い冬の日に、あたたかいお茶がじんわりと身体をあたためてくれます。

全員がお茶をいただいた後、みくぼさんからまたもうひとつ、嬉しいサプライズが。

「実は今日は、お茶をもう1服召し上がっていただきます。1度お茶碗を引かせていただいて、この後みなさんにどのお茶碗で飲むか選んでいただこうと思っています」

今回のために用意いただいたお茶碗は、シルクロードを思わせるようなゴブレット型の焼き物から、ワンピースと羽織の薄緑とリンクする色味のもの、イタリアとの旅を思わせる曳舟(岸辺から綱で人力によって引っ張る珍しい舟)の絵付けがあるものなど、個性的な器が並びます。

中には昔みくぼさんが、ベネチアで見つけた陶器も。模様がニットのようで可愛らしいお茶碗です。

参加者の方からは「海外でお茶道具を買うこともあるんですね」「現地ではカフェラテボウルとして使われてたんでしょうか」なんて声もありながら、それぞれ気になる器を選んでいきます。

二服目にあわせていただくお菓子は、大河内がイタリア・ミラノで直接買い付けてきた干菓子です。レナクナッタのアイテムでもある宮殿師さんと共につくったコンポート皿『Kuuden Comport Stand』に乗せて運ばれてきます。

「通常のお茶会ではなかなか見られない組み合わせですが、イタリアとのマリアージュを楽しんでいただけたらと思います。チョコレートはミラノの『Cioccolateria belga Charlotte Dusart』のもの。コンポート皿にのせたときの美しさを意識して、探し求めたものです。ドライトマトは塩味が強くない、旨味を感じられるものを選ぶことでお茶との合わせを意識しました」

美味しいお茶を二服もいただき、お腹も心も満たされてきましたが、まだまだみくぼさんの種明かしは続きます。

「実は今日、私も隠れレナクナッタをしているんです。帯の上部からチラリと見える『帯揚げ(おびあげ)』と、胸元に懐紙と一緒に挟んでいる『古帛紗(こぶくさ)』に、イタリアのデッドストックシルクを使用しました」

こうして見ると、イタリアのものとは思えないほど和服に馴染んでいます。デッドストックに使われている金色も、床の間に飾られている『焼箔』とリンクしているようにも思えます。

今回のために特別に作った『古帛紗』は、参加者のみなさまへのお土産でもあります。茶道では茶器の拝見や点て出しの際に使用される小さな布ですが、自宅で小物や花瓶の下に敷いたり、色々な使い方ができます。

それぞれが好きな『古帛紗』を選んだら、お茶会も終わりの時間に近づいてきました。みなさんからは、嬉しい感想の声も。

「体験を通してレナクナッタのメッセージが伝わるのが新鮮でした。いつも見ていたSNSの発信の説得力も増すし、記憶と思い出に残る、すごくいい会でした」

「日本文化が培ってきたいい部分を感じながら、オープンな雰囲気と今の時代の空気感もあって楽しめました。日本文化のアップデートを感じて世界が広がりました」

「この空間で、レナクナッタが好きな人たちとお話できる機会がとても楽しかったです」

普段の生活では、茶道の世界にふれる機会はそう多くないかもしれません。ですが今回のお茶会でイタリアやレナクナッタの要素を自由に取り入れたりと、とても懐が深く、楽しみの幅が広い文化でもあります。そして、すべてのもてなしの根底にあるのは相手を思いやる心でもあります。

この体験を通して、茶道や日本文化を身近に感じたり、レナクナッタの思いを体感いただける機会になれば、こんなに嬉しいことはありません。

Special Thanks
株式会社TeaRoom(文化事業部)
みくぼ笑り子

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